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花売
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はなうり
紅き
石竹や紫の
桔梗を
一荷に
担げて売に来る、
花売爺の笠の
檐に
旭日の光かがやきて、乾きもあえぬ花の露
鮮やかに見らるるも嬉し。
高坂は
旧来た
方を
顧みたが、草の
外には何もない、
一歩前へ
花売の女、
如何にも身に
染みて聞くように、
俯向いて
行くのであった。
と
花売は、
袂に
留めた
花片を
惜やはらはら、
袖を胸に引合せ、身を細くして、高坂の体を横に
擦抜けたその片足も
葎の中、路はさばかり狭いのである。
その不意に
立停ったのを、
行悩んだと思ったらしい、
花売は
軽く見返り