色鍋島いろなべしま)” の例文
庭前の大石にあたって色鍋島いろなべしま大花瓶おおかびん、ガラガラッと粉になって砕けた。真ッ青になったお十夜が、無念のあまり投げつけた力に——。
鳴門秘帖:06 鳴門の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
古い「色鍋島いろなべしま」や柿右衛門風な品を上手に真似る人はありますが、単なる模写にとどまって、創作の強みを持ちません。
手仕事の日本 (新字新仮名) / 柳宗悦(著)
と常に、油断はせずに、肌身を離さずにいると見せて、実は、その部屋の床脇とこわきにある、色鍋島いろなべしまの壺の底へ隠しておいたのだ。
鳴門秘帖:06 鳴門の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
色鍋島いろなべしま唐津からつとは持主が違うであろう。もし二つとも有っているなら、どっちでもいいような持主であろう。
北九州の窯 (新字新仮名) / 柳宗悦(著)
きっと金沢の九谷くたにかどこかの廻し者で、色鍋島いろなべしま錦付にしきつけ釉薬うわぐすりの秘法を盗みに来たやつに相違ありません
増長天王 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
みな佐賀のほこり、御用焼ごようやきの色鍋島いろなべしま克明こくめいに制作している、善良なる細工人さいくにんばかりの山だ。
増長天王 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
色鍋島いろなべしまつぼ、しゅちんの帯、そうかと思うと金泥の仏像や嫁入り衣裳、またかなりにもならないガラクタ物まで現れましたが、さて、どうしたのか、金吾と釘勘が目をすえて待つ
江戸三国志 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
それは太守たいしゅも、刈屋頼母かりやたのもも、まったく望みを絶っていた、増長天王ぞうちょうてんのう陶器像すえものぞう。しかも一点のきずなく彫琢ちょうたく巧緻こうち染付そめつけ豪華ごうか絢麗けんれいなこと、大川内おおかわちの山、開いてこのかた、かつて見ない色鍋島いろなべしまの神品。
増長天王 (新字新仮名) / 吉川英治(著)