色身しきしん)” の例文
姫のおもかげびとに貸すための衣に描いた絵様えようは、そのまま曼陀羅のすがたを具えていたにしても、姫はその中に、唯一人の色身しきしんの幻を描いたに過ぎなかった。
おんあるじ、大いなる御威光ごいこう、大いなる御威勢ごいせいを以て天下あまくだり給い、土埃つちほこりになりたる人々の色身しきしんを、もとの霊魂アニマあわせてよみ返し給い、善人は天上の快楽けらくを受け
おぎん (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
やがて金色こんじきの雲気は、次第に凝り成して、照り充ちた色身しきしん——うつの人とも見えぬ尊い姿があらわれた。
死者の書 (新字新仮名) / 折口信夫(著)
ここに「不思議」の色身しきしんは夢幻のきぬなげうちぬ。
有明集 (旧字旧仮名) / 蒲原有明(著)