自腹じばら)” の例文
柳宗元りゅうそうげん韓退之かんたいしの文を読むごとに薔薇しょうびみずで手を清めたと云うくらいだから、吾輩の文に対してもせめて自腹じばらで雑誌を買って来て
吾輩は猫である (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
それもサ、何もお前さんの自腹じばらを切って出せという話じゃねえ、蜂須賀家のお金蔵かねぐらから、威張って引きだせる筋のものです
鳴門秘帖:03 木曾の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
律義りちぎ律義りちぎ、いつもその思召おぼしめしねがひたい、とみち此処ここ自腹じばらでないから、わたし一人ひとりめてゐる。
十和田湖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
一同を代表してというのは武士としていかにも腑甲斐ない言い分であるというので、詰腹つめばらを切らせる代りに、自腹じばらを切って茶菓子をおごらせられ、その上、自分がその使に行かねばならなくなりました。
一文も自腹じばらを切らずに、到るところ大切だいじにされて通ります。
大菩薩峠:07 東海道の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)