腰間ようかん)” の例文
封建武士の心胆は、その腰間ようかんよこたう双刀の外に出でず。この時にして徳川幕府の万歳ならざらしめんと欲するも、もとよりあたわざる所なり。
吉田松陰 (新字新仮名) / 徳富蘇峰(著)
太祖時に御齢おんとし六十五にわたらせたまいければ、流石さすが淮西わいせい一布衣いっぷいよりおこって、腰間ようかんけん、馬上のむち、四百余州を十五年になびけて、遂に帝業を成せる大豪傑も
運命 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
小刀は日頃の物であったが、大刀は、仕官以後は遠慮して差さなかった例の無銘むめい——しかし肥前長光ひぜんながみつともいわれている——愛刀物干竿ものほしざおを、久しぶりに、その腰間ようかんに、長やかに横たえていた。
宮本武蔵:08 円明の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
腰間ようかんの一水は、伝家の銘刀来信国らいのぶくにの三尺二寸という大剣であったという。
剣の四君子:03 林崎甚助 (新字新仮名) / 吉川英治(著)