脊椎せきつい)” の例文
小さい時からも病弱であったし、十七の時にわずらった脊椎せきついカリエスが今はかたまっているとはいえ、八重はまだコルセットをはめている。
(新字新仮名) / 壺井栄(著)
脊椎せきついのない脊椎動物」というにひとしく、奇怪な言語上のトリックであり、事実としては無いところの、思弁上の抽象概念に属している。
詩の原理 (新字新仮名) / 萩原朔太郎(著)
たかしの弟は脊椎せきついカリエスで死んだ。そして妹の延子も腰椎ようついカリエスで、意志をうしなった風景のなかを死んでいった。
冬の日 (新字新仮名) / 梶井基次郎(著)
こういうと、少年しょうねんは、脊椎せきついカリエスで、とうていたすかる見込みこみがないと、回診かいしん医者いしゃはいっていました。
だまされた娘とちょうの話 (新字新仮名) / 小川未明(著)
私一個にとっては、作品の「筋」乃至ないし「話」は、脊椎せきつい動物に於ける脊椎の如きものとしか思われない。
光と風と夢 (新字新仮名) / 中島敦(著)
「それかい……」彼は少し顔をあからめながら云った。「それは脊椎せきついカリエスのあとなんだ」
燃ゆる頬 (新字新仮名) / 堀辰雄(著)
大和やまと伊勢いせ紀伊きい河内かわち和泉いずみがその勢力範囲であって、大和アルプスを脊椎せきついとした大山岳地帯全体が海洋に三方を取りまかれて、大城廓をなし、どうにも攻め様がなかったのと
中世の文学伝統 (新字新仮名) / 風巻景次郎(著)
肢指しし脊椎せきついの屈伸に強くあらわれた。
おさん (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
「ふーん。脊椎せきついはもういいのかね。」
(新字新仮名) / 壺井栄(著)
脊椎せきついカリエスの持病のせいもあった。
妻の座 (新字新仮名) / 壺井栄(著)