聴衆ちょうしゅう)” の例文
旧字:聽衆
「それならやれますが、しかしそれでは聴衆ちょうしゅうが承知しないでしょう。ぼくばかりか、お父さんもひどい攻撃をうけるにきまっていますよ」
霊魂第十号の秘密 (新字新仮名) / 海野十三(著)
それからあのねこの来たときのようにまるでおこった象のようないきおいで虎狩りを弾きました。ところが聴衆ちょうしゅうはしいんとなって一生けん命聞いています。ゴーシュはどんどん弾きました。
セロ弾きのゴーシュ (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
ある美貌びぼう声楽家せいがくかは、ゆび宝石ほうせきをかがやかせ、すましこんで、ステージにち、たとえ聴衆ちょうしゅう睥睨へいげいしながらうたっても、かげでは、権力けんりょくのあるものや、金力きんりょくあるもののめかけであったり、おとこどもには
風はささやく (新字新仮名) / 小川未明(著)
シャクの聴衆ちょうしゅうは次第にふえて行ったが、ある時彼等の一人がこんなことを言った。シャクの言葉は、憑きものがしゃべっているのではないぞ、あれはシャクが考えてしゃべっているのではないかと。
狐憑 (新字新仮名) / 中島敦(著)