としよ)” の例文
庄次もういふ小作人の仲間で殊に心掛の慥な人間でありました。彼のとしよつた父は毎年夏の仕事には屹度一枚の瓜畑を作りました。
白瓜と青瓜 (旧字旧仮名) / 長塚節(著)
鴈治郎はとしよつた尼さんのやうな寂しさうな眼もとをして、をふつた。そのは女の涙を拭いてやるために態々わざ/\拵へたやうに繊細きやしやに出来てゐた。
そのなかには無論憲法学者もまじつてゐた。愈々いよ/\皆が箸を執らうとすると、としよつた市村氏の父は食前の祈祷を始めた。
「うむ、よし/\。」としよつた化学者は娘の言ひなり通り、さくらんぼを一つづつ鄭寧ていねいに丼の水で洗つて食べてゐたが、暫くすると籠のなかは空つぽになつた。すると化学者は手を伸ばして丼を取上げた。