翠色すゐしよく)” の例文
翠色すゐしよくしたヽるまつにまじりて紅葉もみぢのあるおやしきへば、なかはしのはしいたとヾろくばかり、さてひとるはそれのみならで、一重ひとへばるヽ令孃ひめ美色びしよく
暁月夜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
東区イースト・ポイントの山の如きはあたかも岡山の操山みさをやまを見る様な風に翠色すゐしよくを呈して居るが、其れが皆二十年ぜんに移植した松だと云ふ。
巴里より (新字旧仮名) / 与謝野寛与謝野晶子(著)
夜来の春雨猶止まずして一山風静かに、窓前の柳松りうしよう翠色すゐしよく更に新たなるを覚え、空廊に響く滴水の音、濡羽をふるふ鶯の声に和して、艶だちたる幽奥の姿誠に心地よく候。
渋民村より (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
図の上半部を成してゐる彼方むかふには翠色すゐしよく悦ぶべき遠山が見えてゐる、其手前には丘陵が起伏してゐる、其間に層塔もあれば高閤かうかふもあり、黒ずんだ欝樹が蔽ふた岨もあれば
観画談 (新字旧仮名) / 幸田露伴(著)