羽翼うよく)” の例文
これ鳥を籠中に封ずるのみならず、またその羽翼うよくぐものなり。沿海一万五千三百里、今は空しく超うべからざるの天険てんけんとなりぬ。
吉田松陰 (新字新仮名) / 徳富蘇峰(著)
こういうふう羽翼うよくを附けてこういうように飛ばせば飛ばぬはずはないと見込がついた上でさて雛形ひながたこしらえて飛ばして見ればはたして飛ぶ。
中味と形式 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
尾張二郡の小城から、尾濃びのう二州へ羽翼うよくをのばしたくらいでは、まだ世間は、多分に多寡たかをくくっていたであろう。
新書太閤記:04 第四分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
そしてかつては内村鑑三、堺枯川、幸徳秋水をその羽翼うよくの下に抱擁した自由人であったのである。
涙香に還れ (新字新仮名) / 野村胡堂(著)
たま/\北辺に寇警こうけいありしを機とし、防辺を名となし、燕藩の護衛の兵を調してさいでしめ、其の羽翼うよくを去りて、其の咽喉いんこうやくせんとし、すなわ工部侍郎こうぶじろう張昺ちょうへいをもて北平左布政使ほくへいさふせいしとなし
運命 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
この養子が羽翼うよく既に成りて社会に頭角を顕すと同時に、漸く養家の窮窟なるをいとうて離縁復籍を申出し、甚だしきは既婚の妻をも振棄てゝ実家に帰るか、又は独立して随意に第二の妻を娶り
女大学評論 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
一はその同僚に羽翼うよくの忠友多く、他はその同僚に敵心をはさみ、しからざるも冷淡なるもの概してこれ。
吉田松陰 (新字新仮名) / 徳富蘇峰(著)
勝家は身をもってのがれたが、勝家の羽翼うよくであった全軍は、完全に潰滅かいめつ霧散むさんし去った。
新書太閤記:09 第九分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
要するに、対伊丹城策は、なるべく味方の兵力を毀損きそんせぬことを前提とし、時日は要しても、まず彼の羽翼うよくぐに全力をかけ、荒木村重をして孤立化せしめる——そういう方針であった。
新書太閤記:05 第五分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
いよいよ中原ちゅうげん羽翼うよくを伸張しきたらんとする由。
三国志:05 臣道の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
羽翼うよく
新書太閤記:05 第五分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)