こひつじ)” の例文
かくの如く、二匹のたけき狼の慾と慾との間にては一匹のこひつじひとしくこれを恐れて動かず、二匹の鹿の間にては一匹の犬止まらむ 四—六
神曲:03 天堂 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
世界大戦争という人類の罪悪の償いとして、日本唯一の聖地浦上が犠牲の祭壇に屠られ燃やさるべき潔きこひつじとして選ばれたのではないでしょうか?
長崎の鐘 (新字新仮名) / 永井隆(著)
その全面長く金色きんいろな綿毛を被った形、とんとシジアのこひつじに異ならぬ。それに附会して種々の奇譚が作られたのだと(『自然科学字彙ジクチョネール・デ・シャンス・ナチュレル』四巻八五頁)
わかれの舞踏會は御館みたちにて催されぬ。われは姫の最後に色あるきぬを着け給ふを見き。是れ人々の生贄いけにへこひつじを飾れるなり。
こんなにハッキリした形で問題を提出せられても、彼らは何も答えることができず、敵意の沈黙を続けるだけであった。とうとうこひつじの怒りは爆発しました。
かしこにいくさを起す狼どものあだこひつじとしてわが眠りゐし處——より我をいだすその殘忍に勝つこともあらば —六
神曲:03 天堂 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
春秋繁露しゅんじゅうはんろ』におよそ卿ににえとるにこひつじを用ゆ。羔、角あれども用いず、仁を好む者のごとし。これをとらうれども鳴かず、これを殺せどもさけばず、義に死する者に類す。
こゝに多くの聲きこえぬ、各〻平和と慈悲とを、かの罪を除きたまふ神のこひつじに祈るに似たりき 一六—一八
神曲:02 浄火 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
ホワイトの『セルボルン博物志』には、蝮の子は生まるると直ぐ歯もないくせに人を咬まんとす、雛鶏けづめなきに蹴り、こひつじこうしは角なきに頭もて物を推し退くと記した。
逃ぐる者をば龍となりて追ひ、齒や財布を見する者にはこひつじのごとく柔和おとなしきかの僭越のうから 一一五—一一七
神曲:03 天堂 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)