署名サイン)” の例文
船長キャプテンの前で一等運転士の作った出鱈目でたらめの契約書に署名サインする時、何ということなしに為吉はシンタロ・サカモトと書いてしまった。
上海された男 (新字新仮名) / 牧逸馬(著)
僕はここに名を載せられていない旗太郎と、クリヴォフとそのどっちかのうちに、犯人の署名サインがあるのではないかと思うのだよ
黒死館殺人事件 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
充分吟味して一字一点の疑義も持たぬようになってから、初めて署名サインを済ませるのであったから、時には十日間くらいも滞っていることがある。
陰獣トリステサ (新字新仮名) / 橘外男(著)
あなたもご承知の通り、私はこの事件を笑殺しょうさつしてしまうことは出来ないのです。そこで万一の場合のための書類に、あなたの署名サインを願いたいのです。
その奇怪なる蠅男の署名サイン入りの脅迫状が、こうして二通も揃ってみると、これはもはや冗談ごとではなかった。
蠅男 (新字新仮名) / 海野十三(著)
その絵を親しく見た人は、画面の右の端に、K. K. と署名サインされてゐるのに気が付いただらう。
真珠夫人 (新字旧仮名) / 菊池寛(著)
ハリウッドの女優さんなんかは、署名サイン係というのを何人か雇っていて、ブロマイドにサインをしてファンへ送っているそうですが萩乃のは、たまのことだから、自分で書くのだ。
丹下左膳:02 こけ猿の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)
柳遷りゅうせんとか柳川りゅうせんとか色々署名サインしていたそうですが、その人が御維新後のその頃になって、スッカリ喰い詰めてしまって、東海道は見付みつけ宿しゅく等々力とどりき雷九郎という親分を頼って来て
二重心臓 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
苦痛の署名サインをして行くのがこの灰である、先刻の梓川の河原にもあった、古楊にもあった、葛の裏葉にもついていたが、島々谷に入ると、黒い粘板岩にも熊笹の葉にもこすられていて
谷より峰へ峰より谷へ (新字新仮名) / 小島烏水(著)
そして、あなたは、仏蘭西フランス語か英語か伊太利イタリー語で、彼と、その二、三日の天気の批評をして、モウニングの尻尾をしわだらけにして帰るのです。写真は、幾らでもくれます。署名サインもします。
踊る地平線:10 長靴の春 (新字新仮名) / 谷譲次(著)
私の方に横顔を見せて、しきりに署名サイン済みの書類を取り揃えているのが映る。相変らず私はそのままの姿勢を執っていた。
陰獣トリステサ (新字新仮名) / 橘外男(著)
その絵を親しく見た人は、画面の右の端に、K. K. と署名サインされているのに気が付いただろう。
真珠夫人 (新字新仮名) / 菊池寛(著)
そうだ支倉はぜくら君、あまり君の署名サインが鮮かだったものだから、それに眼がくらんで、僕は些細な事までもうっかりしていたよ。あながちピロカルピンの所在は、この薬物室のみに限らんのだ。
黒死館殺人事件 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
「ハンセンさん、あなたはもう、帰っていいの、お客様は都合で、来られなくなったから、あなたはもうお帰りなさい。あ、ちょいとちょいと、これに署名サインしてもらいたいんですって」
グリュックスブルグ王室異聞 (新字新仮名) / 橘外男(著)
まだ私の決裁未了の書類であって空いたもう一つの方へ署名サインを済ませた分からほうり込んでおけば、頃合いを見計らっては秘書は給仕を呼んで、これを各課へ運ばせるという段取りであった。
陰獣トリステサ (新字新仮名) / 橘外男(著)