総々ふさふさ)” の例文
雪の降る時は好んで棕櫚しゅろで編んだ、まるでかぶとのような笠をかぶります。深い形で頭のみならずえりまで総々ふさふさした棕櫚毛でおおうように作られてあります。
手仕事の日本 (新字新仮名) / 柳宗悦(著)
おてて、あんよ、おそろしいようですわ。百年は大丈夫ですわね。まあ、あのかんかんの総々ふさふさして軽そうですこと。
来月のせわしさを見越して、村でも此月ばかりは陽暦ようれきで行く。大麦も小麦も見渡す限り穂になって、みどりの畑は夜の白々と明ける様に、総々ふさふさとした白い穂波ほなみただよわす。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
雲の長髪は有名であったが、その後なにに感じてか五分がり頭になって雲入道と改名、見た目も貧弱で引き立たぬと思ったら、また一年ほどすると総々ふさふさとした長髪に返った。
明治世相百話 (新字新仮名) / 山本笑月(著)
特にここで出来るみのは大変特色があって、背を総々ふさふさとした葡萄皮ぶどうがわで作り腰を山芝で編みます。裏側が美しい網になっていて見事な手仕事であります。
手仕事の日本 (新字新仮名) / 柳宗悦(著)
だが草々くさぐさの身仕度はこれでしまいなのではない。最後に珍らしい二つのものを身につける。一つはあの浦島太郎がつけているような総々ふさふさとした腰蓑こしみの(まえあて)である。
陸中雑記 (新字新仮名) / 柳宗悦(著)
そうしてその周囲には黒く染めた胡桃皮くるみかわを毛のように長くらします。時としては「すごも」と呼ぶ海藻かいそうを黒髪の如くなびかせます。背から腰にかけては丈夫なしなの皮を総々ふさふさと用います。
手仕事の日本 (新字新仮名) / 柳宗悦(著)