綴方つづりかた)” の例文
悦子はままごとにも飽きてしまうと、お花に云いつけて二階の部屋から帳面を持って来させて、洋間で宿題の綴方つづりかたを書いていた。
細雪:01 上巻 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
例へば一年生に読方を教へる時には、二年生は習字、三年生は算術をやり、四年生は綴方つづりかたを書いてゐるといふ風に、これを順ぐりにやるのです。
先生と生徒 (新字旧仮名) / 槙本楠郎(著)
「じゃあこうしましょう。あとで小使こづかいさんにこれをにてもらい、今日の理科の時間に研究しようじゃないの。それから、蟹っていう題で綴方つづりかたも書いてくるの」
二十四の瞳 (新字新仮名) / 壺井栄(著)
祥子さちこは、綴方つづりかたや童謡などを好んで、即興的につくるのに、小太郎は面倒くさがり屋で、数学や理科が好きで、国語ことに綴方など、大嫌いという性質であった。
貞操問答 (新字新仮名) / 菊池寛(著)
また先生の助手として森田正馬さんなどが、その席にいて、私は西洋語の綴方つづりかたを訊ねたりした。
呉秀三先生 (新字新仮名) / 斎藤茂吉(著)
単にわが人生を複写するのは綴方つづりかたの領域にすぎぬ。そして大の男が綴方に没頭し、面白くもない綴方を、面白くない故に純粋だの、深遠だの、神聖だなどゝ途方もないことを言つてゐた。
理想の女 (新字旧仮名) / 坂口安吾(著)
うん、すらすらと行詰ゆきつまらずに読んだ。おれはなかなかえらいぞ……今度は綴方つづりかただ。あ、出来た。先生が感心してゐる。今度は習字だ。うまいうまい、おれが一番上手だ……今度は体操だ。
愚助大和尚 (新字旧仮名) / 沖野岩三郎(著)
十二の時に、柏木かしわぎ叔父おじさんが、私の綴方つづりかたを「青い鳥」に投書して下さって、それが一等に当選し、選者の偉い先生が、恐ろしいくらいにめて下さって、それから私は、駄目になりました。
千代女 (新字新仮名) / 太宰治(著)
小太郎は綴方つづりかたの紙をヒラヒラさせながら、廊下を、首をすくめ、肩を怒らしたふざけた恰好で弾丸のように走って、二階への階段を一足飛びに上りきってしまった。
貞操問答 (新字新仮名) / 菊池寛(著)
姉さんは赤十字の看護婦かんごふだそうよ。じぶんは先生になりたいって、それも綴方つづりかたに書いてあるの。きいたって口ではいわないくせに、綴方だと、すごいこと書くのよ。
二十四の瞳 (新字新仮名) / 壺井栄(著)
綴方つづりかたと小説の相違、天分とか才能の限界に就て常々ギンミになやむ思ひが去らず、それが先生自らのボンクラ性に対しての悲劇的な悩みの種でもあるのだから、この心眼の観察力は悲痛なほど深刻
破門 (新字旧仮名) / 坂口安吾(著)
きのうは一日、家にいて「綴方つづりかた教室」を読了し、いろいろ考えて夜もなかなか眠られなかった。「綴方教室」の作者は、僕と同じとしなのだ。僕もまったく、愚図愚図ぐずぐずしては居られないと思ったのだ。
正義と微笑 (新字新仮名) / 太宰治(著)
綴方つづりかたがあるねん」
細雪:01 上巻 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
「あら、へんなの。だってわたし、『草の実』の中の綴方つづりかたを、感心して、うちの組に読んで聞かしたりしたわ。『麦刈むぎかり』だの、『醤油屋しょうゆや煙突えんとつ』なんていうの、うまかった」
二十四の瞳 (新字新仮名) / 壺井栄(著)