綱曳つなひ)” の例文
盆の終りに際して、少年が小屋をかけ、または屋外で煮炊にたき食事をする風があるか。また綱曳つなひきその他のこの頃に限る習わしがあるか。
年中行事覚書 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
かつて或る暴風雨の日ににわかうなぎいたくなって、その頃名代の金杉かなすぎ松金まつきんへ風雨を犯して綱曳つなひ跡押あとおしきのくるま駈付かけつけた。
二葉亭余談 (新字新仮名) / 内田魯庵(著)
老人や子供までが綱曳つなひき唄の声をいちだんと張り上げまする
親鸞 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
行き違いさまに、綱曳つなひきは血声ちごえを振り立て
義血侠血 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
これとは反対に相隣する部落には幸福の取合いをする一種の競技もあった。綱曳つなひきということは九州にはよくあるが、この辺には少なくともその遺跡はない。
地名の研究 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
相撲すもうとか競馬とか鶏合とりあわせとかのごとく今まで成人の念者がたくさんに押掛おしかけるもの以外に、ぼんや正月の綱曳つなひきのように、ちょうど成人から子どもへの過渡期にあるものもあれば
こども風土記 (新字新仮名) / 柳田国男(著)