結目ゆいめ)” の例文
一時ひとしきり、芸者の数が有余ったため、隣家となりの平屋を出城にして、桔梗ききょう刈萱かるかや女郎花おみなえし、垣の結目ゆいめ玉章たまずさで、乱杙らんぐい逆茂木さかもぎ取廻し、本城のてすり青簾あおすだれは、枝葉の繁る二階を見せたが
日本橋 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
武士さむらい這奴しゃつの帯の結目ゆいめつかんで引釣ひきつると、ひとしく、金剛杖こんごうづえ持添もちそへた鎧櫃よろいびつは、とてもの事に、たぬきが出て、棺桶かんおけを下げると言ふ、古槐ふるえんじゅの天辺へ掛け置いて、大井おおい、天竜、琵琶湖びわこも、瀬多せた
妖魔の辻占 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
宵に一旦いったんちらちらと降ったのは、垣の結目ゆいめ、板戸の端、ひさし往来ゆききの人の頬、びんの毛、帽子のつばなどに、さらさらと音ずれたが、やがて声はせず、さるものの降るとも見えないで、木のこずえも、屋の棟も
註文帳 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)