素破抜すっぱぬ)” の例文
旧字:素破拔
「そりゃ困ったね。でもね、先生は悪い方じゃないんだろう、だからここでお前を素破抜すっぱぬいて恥を掻かすようなことはなさりゃすまいから」
お藤に素破抜すっぱぬかれると、万次郎はそれにさからう気力もなく、がっくり首を落して、平次の前に二つ三つお辞儀をしました。
たしかその当時の新聞の編輯余録といったような欄の中に、素破抜すっぱぬいてあったと思うが……かえって仙五郎爺から巻物の話を聞いた村の者が、色んな事を云っているそうだ。
ドグラ・マグラ (新字新仮名) / 夢野久作(著)
若し此事が六号活字子ごうかつじしの耳に入って、雪江せっこうの親達は観世撚かんぜよりってるそうだ、一寸ちょっとちんだね、なぞと素破抜すっぱぬかれては余り名誉でないと、名誉心も手伝って、急に始末気しまつぎを出し
平凡 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
あざやかに素破抜すっぱぬかれてしまいました。今月の『文学世界』の新作を拝見して、私は呆然としてしまいました。本当に、本当に、小説家というものは油断のならぬものだと思いました。
(新字新仮名) / 太宰治(著)
と柴さんが素破抜すっぱぬくと、星野さんは
ぐうたら道中記 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
「茂ちゃん、およしなさい、そんなことも一度や二度あったかもしれませんが、それを殿様の前で素破抜すっぱぬいてしまうなんて」
大菩薩峠:33 不破の関の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
「うそだろう、君は面白くて面白くてたまらないようだが」と素破抜すっぱぬいたのは、なんとそのころ瓢庵先生の捕物を書き始めた水谷準君だったのである。
展覧会なぞの報道を申訳もうしわけだけに掲載していたが、本来の目的は一箇月に一度位ずつ、女学校や、上流家庭の内幕を素破抜すっぱぬいて、その新聞の全部を高価たかく売り付けるのであった。
けむりを吐かぬ煙突 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
お蘭が、はしゃぎついでに、何か素破抜すっぱぬきをやり出しそうなので、周章あわてて盃を下に置いた若い番頭は
大菩薩峠:32 弁信の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
この前よけいな事を素破抜すっぱぬきやがった返報に、絶対秘密を喰わせている。二三人来た早耳の連中が、夕刊の締切が近いので、それ以上聞出し得ずに慌てて帰って行った迄の事よ。
二重心臓 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
このかんの消息が詳しく素破抜すっぱぬいてありますが、その時に正木先生は、見窶みすぼらしい紋付もんつきはかまの姿で、教授連の拍手に取巻かれながら、頭を抱えて、こんな不平を云われたものです。
ドグラ・マグラ (新字新仮名) / 夢野久作(著)