素問そもん)” の例文
医書中で『素問そもん』を愛して、身辺を離さなかったこともまた同じである。次は『説文せつもん』である。
渋江抽斎 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
素問そもん難経なんきょうとを二三行ずつ、傷寒論と病源候論とを五六行ずつ訳させられたのである。
(新字新仮名) / 森鴎外(著)
成善しげよしは七歳で、はじめて矢の倉の多紀安琢たきあんたくもとに通って、『素問そもん』の講義を聞いた。
渋江抽斎 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
素問そもん靈樞れいすうでもむやうな醫者いしやさがしてめてゐたのではなく、近所きんじよんでゐてぶのに面倒めんだうのない醫者いしやかつてゐたのだから、ろくなくすりませてもらふことが出來できなかつたのである。
寒山拾得 (旧字旧仮名) / 森鴎外(著)
素問そもん霊枢れいすうでも読むような医者を捜してきめていたのではなく、近所に住んでいて呼ぶのに面倒のない医者にかかっていたのだから、ろくな薬は飲ませてもらうことが出来なかったのである。
寒山拾得 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
遺言ゆいごんうちに、兼て嗣子と定めてあった成善しげよしを教育する方法があった。経書けいしょを海保漁村に、筆札ひっさつを小島成斎に、『素問そもん』を多紀安琢に受けしめ、機を蘭語らんごを学ばしめるようにというのである。
渋江抽斎 (新字新仮名) / 森鴎外(著)