紙屑屋かみくずや)” の例文
見ても分るじゃありませんか。骨董こっとうらしいものは一つも並んでいやしない。もとが紙屑屋かみくずやから出世してあれだけになったんですからね
(新字新仮名) / 夏目漱石(著)
しかのみならず今日にいたりては、その御広間もすでに湯屋ゆやたきぎとなり、御記録も紙屑屋かみくずやの手に渡りたるその後において、なお何物に恋々れんれんすべきや。
旧藩情 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
加山耀蔵ようぞう鉄砲笊てっぽうざるをかついで紙屑屋かみくずやに化け、波越八弥はどこから見つけて来たかと思うほどひどいボロを着こんで、頭から酒菰さかごもをかぶり、うまうまと非人ひにんに変装した。
牢獄の花嫁 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
然も紙屑屋かみくずやとさもしき議論致されては意気な声もききたくなく、印付しるしつき花合はなあわまけても平気なるには寛容おおようなる御心おこころかえって迷惑、どうして此様このようめす配偶つれあいにしたかと後悔するが天下半分の大切おおぎり
風流仏 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
その一軒おいてとなりに紙屑屋かみくずやのおもんちゃんのうちがあった。