紅入べにい)” の例文
お庄は日焼けのした丸い顔や、田舎田舎した紅入べにい友染ゆうぜんの帯を胸高むなだかに締めた自分の姿を見て、ぼッとしていた。
足迹 (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
信如は今ぞ淋しう見かへれば紅入べにいり友仙の雨にぬれて紅葉もみぢかたのうるはしきが我が足ちかくちりぼひたる、そぞろにゆかしき思ひは有れども、手に取あぐる事をもせずむなしう眺めて憂き思ひあり。
たけくらべ (新字旧仮名) / 樋口一葉(著)
段梯子の下に突っ立っていながら、目の悪い主婦かみさんは、降りて来るお庄の姿を見あげて言った。お庄は牡丹の模様のある中形ちゅうがたを着て、紅入べにい友禅ゆうぜんの帯などを締め、香水の匂いをさせていた。
足迹 (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
信如しんによいまさびしうかへれば紅入べにい友仙ゆうぜんあめにぬれて紅葉もみぢかたのうるはしきがわがあしちかくちりぼひたる、そゞろにゆかしきおもひはれども、とりあぐることをもせずむなしうながめておもひあり。
たけくらべ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)