糾弾きゅうだん)” の例文
罪ありと推定せらるるも、罪の自白に接せずしては不正確なる故、罪人を糾弾きゅうだんし以てその罪を自白せしめんとするが第一の理由である。
ヨブ記講演 (新字新仮名) / 内村鑑三(著)
糾弾きゅうだんするつもりはない。僕の知りたいのは、姓名不詳氏がどう処理されたかということだ。交川博士に聞けば分るんだが、博士は今何処に——
断層顔 (新字新仮名) / 海野十三(著)
破牢の兵馬を糾弾きゅうだんすべき地位にある人で、それを擁護ようごすべき立場の人でないということはお松にもよくわかるはずです。
大菩薩峠:14 お銀様の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
当然、地方民の怨嗟えんさ糾弾きゅうだんの声が起った。そして中府の荊州にもこの非難が聞えてきたので、温厚な玄徳も
三国志:08 望蜀の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
能勢のせ弁護士と云うのは人も知る官権の横暴と云う事に強い反感を持った人で、卑しくも官権が圧迫を加えたと云うような事実に対しては彼一流の粘り強さで徹底的に糾弾きゅうだんする。
支倉事件 (新字新仮名) / 甲賀三郎(著)
その国是の出発点を虚偽であり非行だと糾弾きゅうだんする方向へむかって書かれたこの本が、その国内で出版され、そして出版者も著者も処罰されない。そのような国がアメリカだということです。
清水幾太郎さんへの手紙 (新字新仮名) / 三好十郎(著)
1 二月中、大規模に無産三派連合の内閣糾弾きゅうだんの大演説会を日比谷において開催し、倒閣の気勢を揚げ、つ議会に向いデモンストレーションを行い、本格的に決行する場合の偵察的準備を行う。
いやな感じ (新字新仮名) / 高見順(著)
彼らはイエス様から、その虚偽と偽善とを民衆の前でこっぴどく糾弾きゅうだんせられた鬱憤うっぷんをば、こうした卑劣な方法で晴らしたのです。悪人に憎まれることは、その人が義しき人であることの証拠です。
おそらく、かれの夫人や母堂や、ほかのつぼねの女性たちからも、いっせいに、非難と糾弾きゅうだんの矢をあびせられたにちがいあるまい。——けれどまた、かつては、かれ自身も、少年日吉ひよしとよぶ流浪児るろうじだった。
新書太閤記:11 第十一分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)