粉骨砕身ふんこつさいしん)” の例文
旧字:粉骨碎身
「無論出世さ。幾度も話しているじゃないか? 自叙伝に粉骨砕身ふんこつさいしんしてから、感心な奴だという次第わけで引き立てゝ貰うんだよ」
ガラマサどん (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
「……岡部伍長は、只今より、あらためて粉骨砕身ふんこつさいしん、生命にかけて、皇軍のため、優秀なる地下戦車を作ることを誓います」
未来の地下戦車長 (新字新仮名) / 海野十三(著)
粉骨砕身ふんこつさいしん、この上にも不才を傾けて忠節を誓っております。ひそかに思うに、呉の諸将は、みな周瑜に心から服しているのは少ないかに考えられます。
三国志:07 赤壁の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
かえって心臆するかもしれない、しかし退いても一定助からぬ吾らの身である、申すに及ばぬ儀なれど、めいめい必死の覚悟にて粉骨砕身ふんこつさいしんすべきことと結んであった。
四十八人目 (新字新仮名) / 森田草平(著)
みずから粉骨砕身ふんこつさいしんして新道をきりひらくかせぬことには、鍛刀のわざもこれまでである——こう思ってわしは寝る眼も休まず勤労して来たものだが、菲才ひさいはいかにしても菲才で
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)
「さればこそ、水戸家だけでも菲才ひさいには重荷にすぎる身を、こうして、ご当家のお為には、粉骨砕身ふんこつさいしんを誓っておりますが、なお、ご不満でございましょうか」
梅里先生行状記 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
つ、今日は大西洋に、明日は南氷洋にと、ずいぶんはげしい移動を命ずることであろう。どうか、われわれの大東亜共栄圏のため、粉骨砕身ふんこつさいしん、闘ってもらいたい
地球要塞 (新字新仮名) / 海野十三(著)
「御相談がござる。貴殿の手で、このチョビ安の父母をさがし出してやろうと約束してくだされば、この作阿弥、ただちに長屋を出て、御用にあいたつよう粉骨砕身ふんこつさいしんいたすでござろう」
丹下左膳:03 日光の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)
そも、また、義貞に、何の不義不忠があって、多年の粉骨砕身ふんこつさいしんも見捨てられ、こつねんと今日、大逆無道の尊氏へ、叡慮えいりょをお移し遊ばされるのでございましょうか。
私本太平記:12 湊川帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「重大な御命ぎょめい、私ごときを、格別な御抜擢ごばってきかと、畏れながら存じあげます。粉骨砕身ふんこつさいしん、ただ秀吉の駑才どさい精根しょうこんを傾けてこれにあたり、以て、おこたえ申しあげるしかございませぬ」
新書太閤記:05 第五分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
一日もはやく叡慮えいりょを安んじ奉らねばならぬ。——時は秋、汝らの飼馬かいばも肥えておろう。各〻、信長がむねを旨として、おくるるな、たごうな、あだに死ぬな。粉骨砕身ふんこつさいしん、大君のいます都まで押し進めよ
新書太閤記:03 第三分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)