竜田たつた)” の例文
旧字:龍田
甘南備河かむなびがわは、甘南備山が飛鳥あすか雷丘いかずちのおか)か竜田たつたかによって、飛鳥川か竜田川かになるのだが、それが分からないからいずれの河としても味うことが出来る。
万葉秀歌 (新字新仮名) / 斎藤茂吉(著)
十四歳になる竜田たつた良一と名乗る少年が、リヤカーに乗ったまま、昭和通で自動車に衝突、直ちに病院にはいりましたが、この原因は、信号を無視したためです。
火星兵団 (新字新仮名) / 海野十三(著)
竜田たつただの唐錦からにしきだのと名を附けて、朝夕その頭数を勘定しているような世中よのなかになっては、もうカワセミも安閑あんかんとして、ヒイーなどとは啼いてはいられないのである。
四月二十六日藤堂高虎の砂にきたるを待ち要撃せんとしたが、高虎到らざるため、やみ峠を越えて郡山に火を放ち、筒井定昌を走らせ、法隆寺村、竜田たつた村に火を放ち、国府越より河内に引き去った。
大阪夏之陣 (新字新仮名) / 菊池寛(著)
あの堀川の御所ごしょうかがわれます通り、若殿様が若王子にゃくおうじに御造りになった竜田たつたの院は、御規模こそ小そうございますが、菅相丞かんしょうじょうの御歌をそのままな、紅葉もみじばかりの御庭と申し、その御庭を縫っている
邪宗門 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
竜田たつたか。」
湯島詣 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
鏡王女かがみのおおきみの歌である。鏡王女は鏡王かがみのおおきみむすめ額田王ぬかだのおおきみの御姉に当り、はじめ天智天皇の御寵おんちょうを受け、後藤原鎌足ふじわらのかまたりの正妻となった。此処ここ神奈備かむなび竜田たつたの神奈備で飛鳥あすかの神奈備ではない。
万葉秀歌 (新字新仮名) / 斎藤茂吉(著)