立廻たちまわ)” の例文
青年甲 それが一月ひとつきほども立ってから、その犯人がここらへ立廻たちまわったらしい形跡があるので、警察の方でも注意していると
影:(一幕) (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
以前から私のうち掃溜はきだめへも立廻たちまわって来て、馴染なじみの犬共ではあるけれど、ポチを飼うようになってからは、尚お頻繁ひんぱんに立廻って来る。ポチの喫剰たべあましを食いに来るので。
平凡 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
お互に生存の安全を得やうといふんで、惡狡わるごすく、すばしこく立廻たちまわツて、そりや惨忍ざんにんなもんだ。
平民の娘 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)
が、当の苗子はそんな思惑を知ってか知らないでか、至って呑気に、無頓着に、女学校の寄宿舎にいる女学生のように、縦横無碍むげに、そして不即不離に立廻たちまわっている様子でした。
話が俄然がぜん立廻たちまわり模様になつたからである。弁士は北叟笑ほくそえんで
ハビアン説法 (新字旧仮名) / 神西清(著)