移植いしょく)” の例文
戦後せんごになって、どこからか植木屋うえきやがここへ移植いしょくしたものです。いろいろの下草したくさは、しもにやけてあかいろづいていたし、つちは、くろくしめりをふくんでいました。
春はよみがえる (新字新仮名) / 小川未明(著)
百個作っても五個しか成功しない。だからむしろほんとうの人間の脳髄を移植いしょくする方がらくである。おそらくこんど造った人造人間の脳も失敗作なのであろう
超人間X号 (新字新仮名) / 海野十三(著)
此夕台所だいどこで大きな甘藍きゃべつはかりにかける。二貫六百目。肥料もやらず、移植いしょくもせぬのだから驚く。関翁が家の馳走ちそうで、甘藍の漬物つけもの五升藷ごしょういも馬鈴薯じゃがいも)の味噌汁みそしるは特色である。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
移転の秋坊主になる程苅り込んで非常の労力を以て隣村から移植いしょくし、中一年を置いてまた庭の一隅いちぐううつし植えた二尺八寸まわりの全手葉椎マテバシイが、此頃では梢の枝葉も蕃茂はんもして、何時花が咲いたか
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)