禁裏きんり)” の例文
ことに信長公たび/\の御上洛にもかゝわらず、一ども使節をさし上げられたこともないので、それでは禁裏きんりさまや公方くぼうさまにも恐れ多い。
盲目物語 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
一方の柴進さいしんは、はたごへ帰ると、さっそく宋江へ「山東宋江」の宸筆しんぴつを見せ、またつぶさに、禁裏きんりの様子もはなして聞かせた。
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「まあ、あのお公卿様、禁裏きんり様にお附きあそばすお公卿様が、奥方様のお里方なのでござりまするか」
大菩薩峠:13 如法闇夜の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
女は、禁裏きんりに招かれた大臣たちの警護の武士の一団に、酒肴をすすめていた。
(新字新仮名) / 山川方夫(著)
いたむる折柄をりから將軍家しやうぐんけ御名代ごみやうだいとして禁裏きんりの御用にて當時御老中ごらうぢう酒井さかゐ讃岐守さぬきのかみ殿中仙道すぢを上り道中諸願を取上領主りやうしゆ役人などの非義非道なることは取調とりしらぶるとのことにて明後日は追分邊おひわけへんお泊りとのうはさ
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
けれど、どんな廃屋でも、御所となれば、ここは即座に禁裏きんりであり禁門である。
三国志:04 草莽の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
今しがた禁裏きんりを退出した曹操は、丞相府へもどって、ひと休みしていた。
三国志:04 草莽の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)