石帯せきたい)” の例文
院のためにととのえられた御衣服は限りもなくみごとなもので、そのほかに国宝とされている石帯せきたい、御剣を奉らせたもうたのである。
源氏物語:34 若菜(上) (新字新仮名) / 紫式部(著)
伊予絣いよがすりに、石帯せきたいの結び目を、すこし横っちょにして、榊原健吉は、涼しそうに胡坐あぐらをくんだ。
松のや露八 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
まあ、申さば、内裏雛だいりびな女雛めびなの冠の瓔珞やうらくにも珊瑚さんごがはひつて居りますとか、男雛をびな塩瀬しほぜ石帯せきたいにも定紋ぢやうもんと替へ紋とが互違ひにひになつて居りますとか、さう云ふ雛だつたのでございます。
(新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
貴重品として将来は故人の姫君に与えようと考えていた高級な斑犀はんさい石帯せきたいとすぐれた太刀たちなどを袋に入れ、車へ使いが乗る時いっしょに積ませた。
源氏物語:54 蜻蛉 (新字新仮名) / 紫式部(著)
俊基の装束の石帯せきたいをつかんで引き起すやいな、またすばやく、その利腕ききうでをねじ上げて
私本太平記:03 みなかみ帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「ご装束の石帯せきたい(皮帯)が、お腰の辺でじれておりまする。お直しなされては」
私本太平記:03 みなかみ帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)