いわ)” の例文
いわんやこの清平の世、坦蕩たんとうの時においておや。而るに形躯けいくを変幻し、草木に依附いふし、天くもり雨湿うるおうの夜、月落ちしん横たわるのあしたうつばりうそぶいて声あり。
牡丹灯記 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
人間世界の事は何が何やら分らない、確かに生きて居ると思う人が死んだりする。いわんや金だ、渡さなければならぬとねじくれ込んで、到頭とうとうもっいって貰いました。
福翁自伝:02 福翁自伝 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
これもっ九天邪きゅうてんじゃるの使つかいもうけ、十悪を罰するのつらね、魑魅魍魎ちみもうりょうをして以て其奸そのかんるる無く、夜叉羅刹やしゃらせつをして其暴そのぼうほしいままにするを得ざらしむ。いわんや清平せいへいの世坦蕩たんとうのときにおいてをや。
牡丹灯籠 牡丹灯記 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)