睨附ねめつ)” の例文
「おや……」と夫人は血相変え、火箸ひばしを片手に握りしまま、と立上って矢島を睨附ねめつけ、「ヌ——」とばかり、激怒して口が利けず。
貧民倶楽部 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
やかましいやい。と白きうなじ鷲掴わしづかみ、「この阿魔、生意気に人ごのみをしやあがる。うぬどうしてもかれないか。と睨附ねめつくれば、お藤は声を震わして、 ...
活人形 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
お録、下枝をどこへにがした。と睨附ねめつくれば、老婆は驚きたる顔を上げ、「へい、下枝さんがどうかなさいましたか、「しらばくれるない。きっときさまにがしたんだ。 ...
活人形 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
主人はハツタと睨附ねめつけ、「畜生よ、男は一刀に斬棄きりすてたれど、おのれにはむやうあり」とのゝしり狂ひ、あきれ惑ふお村の黒髪をりて、廊下を引摺ひきずり縁側に連行つれゆきて、有無を謂はせず衣服を剥取はぎと
妖怪年代記 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)