看慣みな)” の例文
一寸ちょっと首を傾げた。これが何を聞く時でも雪江さんのる癖で、看慣みなれては居るけれど、私はいつも可愛らしいと思う。
平凡 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
刑事の眼は門前に光って看慣みなれぬものは一々誰何すいかしたから、誰もイイ気持がしないで尋ねるものが余りなかった。
最後の大杉 (新字新仮名) / 内田魯庵(著)
長いことわずらっていたから、やつれた顔は看慣みなれていたが、此様こんな色になっていたのを見た事がない。厭に白けて、光沢つやがなくて、死の影に曇っているから、顔中が何処となく薄暗い。
平凡 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
美妙は特にその作「蝴蝶こちょう」のための挿画さしえを註文し、普通の画をだも評論雑誌に挿入そうにゅうするは異例であるのを、りに択ってその頃まだ看慣みなれない女の裸体画を註文して容易にれしめたのは
美妙斎美妙 (新字新仮名) / 内田魯庵(著)
尤も私の不断接している女は、厭にお澄しだったり、厭に馴々なれなれしかったりして、一見して如何にも安ッぽい女ばかりだったから、然ういうのを看慣みなれた眼には少しはちがって見えたには違いない。
平凡 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)