白蛇しろへび)” の例文
くびから、はだけた胸のあたりまで、日頃自慢にしていた「白蛇しろへび」のような肌が、夜眼にもくっきりと浮いている。
白蛇の死 (新字新仮名) / 海野十三(著)
「私の家におおきな白蛇しろへびが来て、わざわいをしようとしております、どうかってください」
蛇性の婬 :雷峰怪蹟 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
「あッ——」と、つかんですてると、それは小さな白蛇しろへびである。こんどはたおれている竹童の胸へのって、かれのふところへ鎌首かまくびを入れ、スルスルと襟首えりくびへ、銀環ぎんかんのように巻きついた。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
……そんではい、夜さり、夜ばいものが、寝床をのぞくと、いつでもへい、白蛇しろへびなげいのが、嬢様のめぐり廻って、のたくるちッて、現に、はい、目のくり球廻らかいて火を吹いたやつさえあっけえ。
夜叉ヶ池 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
まだ幽明ゆうめいさかいにあって、まったく死んでしまったわけではないので、いくぶん、ぬくみがあるが、ささの小枝からはいうつった小さな白蛇しろへびは、かれの体温たいおんへこころよげにそって、腕からのど
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
とおい動揺どよみが、失神の耳にも通じたものか、そのとき竹童ちくどうは、ピクリと鳩尾みぞおちをうごかして、すこし顔を横にふった。そのくちびるへ、白蛇しろへびは銀の鎌首かまくびをむけて、緋撫子ひなでしこのようなしたをペロリとく。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)