男気おとこけ)” の例文
旧字:男氣
暮しは至って裕福ゆうふくらしく、男気おとこけはなく、玉枝さんという若い小間使と二人きりで、お弟子衆の来るたびに、よく笛の音が洩れて参りました
牢獄の花嫁 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
男気おとこけのない奥庭おくにわに、次第しだいかずした女中達じょちゅうたちは、おれん姿すがた見失みうしなっては一大事だいじおもったのであろう。おいわかきもおしなべて、にわ木戸きどへとみだした。
おせん (新字新仮名) / 邦枝完二(著)
孀暮やもめぐらしをしつけた人達は、田舎の旅舎へ来ても、淋しい男気おとこけのない様子に見えた。
家:01 (上) (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
「この家に、男気おとこけはねえ筈だ、察するところ、関ヶ原くずれの宿なしだろう、下手な真似をすると、身の為にならねえぞ」
宮本武蔵:02 地の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)