しばらくここに辛抱しんぼうして居るのでほとんど玉石混淆ぎょくせきこんこうの観があるけれども、リンシーに至ってはほとんど学力のない事にきまって居る。
チベット旅行記 (新字新仮名) / 河口慧海(著)
「学校でも若様のお遊び相手ははあなたが吟味ぎんみする。玉石混淆ぎょくせきこんこうですから、その中からしかるべき人を選んでください。おわかりかな?」
苦心の学友 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
僧俗貴賤の階級も問わず、ただ文雅に心をよせ、好学の志を持つものを以て集まる——というのであったから、この玉石混淆ぎょくせきこんこうも、ふしぎではない。
私本太平記:02 婆娑羅帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
霊界は現界と同じく、玉石混淆ぎょくせきこんこうの差別の世界で、寸刻すんこくの油断もできない。これを知らずに幽明交通をするから、そこに多大の弊害が起るのである。
景樹の歌がひどく玉石混淆ぎょくせきこんこうである処は、俳人でいふと蓼太りょうたに比するが適当と被思おもわれ候。蓼太は雅俗巧拙の両極端をそなへた男でその句に両極端が現れをり候。
歌よみに与ふる書 (新字旧仮名) / 正岡子規(著)
推古の美術は多くを切り捨てる簡素化の極致に達したものであるが、天平の美術はすべてを生かせることをねらって部分的な玉石混淆ぎょくせきこんこうを恐れないのである。
古寺巡礼 (新字新仮名) / 和辻哲郎(著)
様々の高低、様々の揺れ、そして様々の玉石混淆ぎょくせきこんこうをもって。或ときは空語と知らない空語をも交えつつ。
「それはそうだろうが、いつぞやも申したとおり、私立中学校は玉石混淆ぎょくせきこんこうです。無礼を働くものがあると追従ついしょう以上にめいわくいたします」
苦心の学友 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
景樹の歌がひどく玉石混淆ぎょくせきこんこうであるところは俳人でいうと蓼太りょうたに比するが適当と被思おもわれ候。蓼太は雅俗巧拙の両極端をそなえた男でその句に両極端が現れ居候。
歌よみに与ふる書 (新字新仮名) / 正岡子規(著)
地上と通信を欲する高級霊は少くないが、容易に適当の霊媒を見出し難いので、何れも躊躇ちゅうちょするのである。かるがゆえに、霊界通信には玉石混淆ぎょくせきこんこうの感がある。
古人の逸話というものの中には、口碑、伝説、史片、曲歪、真偽さまざまであるが、その玉石混淆ぎょくせきこんこうのうちに、自らその人の真のすがたられるものでもある。
随筆 宮本武蔵 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
ありがたいラマの話も聞いて玉石混淆ぎょくせきこんこうの道場を後にして
チベット旅行記 (新字新仮名) / 河口慧海(著)
私立中学はお兄様たちの学習院と違って、玉石混淆ぎょくせきこんこうですからな。それだけきみの責任が重いですよ。
苦心の学友 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
家集にては『芭蕉ばしょう句集』(何本なにほんにても善けれど玉石混淆ぎょくせきこんこうしをる故注意すべし)、『去来発句集きょらいほっくしゅう』『丈草じょうそう発句集』『蕪村句集』などを読むべし。但しいづれも多少は悪句あるを免れず。
俳諧大要 (新字旧仮名) / 正岡子規(著)