猪八戒ちょはっかい)” の例文
中部地方と北上するにしたがって猪八戒ちょはっかい以下になり、関東あたりから急速に下落して、奥州へくると、全然河童には神通力がない。
すこし、はめがはずれると、猪八戒ちょはっかいのように酔ってしまう。酔うと寝てしまうのが露八の癖でもあった。手の甲によだれがながれている。ふなべりに倚りかかって、前後も不覚なのである。
松のや露八 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
かように豕の性質について善い点を探れば種々多かるべきも、豕が多食・好婬・懶惰らんだきたない事を平気というは世に定論あり。『西遊記』の猪八戒ちょはっかいは最もよくこれを表わしたものだ。
与八を猪八戒ちょはっかいとして、米友を孫悟空そんごくうに見立てることは、やや巧者な見立て方であるけれど、与八は八戒よりも大きく、米友は悟空よりも小さいくらいの比較でなければなりません。
大菩薩峠:15 慢心和尚の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
勝太郎にくらべて何から何まで見劣りして色は白いが眼尻めじりは垂れ下り、くちびる厚く真赤で猪八戒ちょはっかいに似ているくせになかなかのおしゃれで、額の面皰にきびを気にして毎朝ひそかに軽石でこすり
新釈諸国噺 (新字新仮名) / 太宰治(著)
「あんなにいうんだから、仲間にしてやってくださいよ。桃太郎だって犬、猿、雉子さじの家来が三人、辻講釈できくと、西遊記の三蔵法師にもけらいは三人、孫悟空そんごくう猪八戒ちょはっかい沙悟浄さごじょう
幻術天魔太郎 (新字新仮名) / 野村胡堂(著)
彼の花嫁は猪八戒ちょはっかいに似た面白い顔立であった。カラダも小肥りで、ちょッと鳩胸でデッ尻で、顔立を裏切らないところに良さがある。然し意外なところに難所があった。
退歩主義者 (新字新仮名) / 坂口安吾(著)
猪八戒ちょはっかいのように天人を怖れざるヤカラでもある。