みだら)” の例文
お島はその手の入墨を発見したとき、耳の附根まで紅くして、みだらな目をみはった。男はえへらえへらと、しまりのない口元に笑った。
あらくれ (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
「いえませんわよ、そんな恥かしいこと。ごらんなさいな、わたしのこの髪を。ちょうど、あんたが帰ってきたんで、みだらな真似もされずにすんだからいいけれど」
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
致しませうぞ夫より五ヶ年すぎまして與惣次方にて出會であひましたは是れ只一夜ことに傳吉の身にふか心配しんぱいありて右樣なるみだらの事の出來やうわけ御座ござりませんと申上けるに大岡殿然ば何で夫婦ふうふなりしぞと云るればお專ハイ之はおうめどのを
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
おとらと三人でいる時でも、青柳はよくめきめき娘に成ってゆくお島の姿形すがたかたちを眺めて、おとらに油断ができないと思わせるようなみだらことばを浴せかけた。
あらくれ (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
お島は耳朶みみたぶまで紅くなった。若い男などをっているみだらな年取った女のずうずうしさを、蔑視さげすまずにはいられなかったが、やっぱりその事が気にかかった。
あらくれ (新字新仮名) / 徳田秋声(著)