猛鷲もうしゅう)” の例文
その烈しさは、見る者のきもをちぢめさせた。まさに猛鷲もうしゅうと猛鷲とが、相搏あいうって、肉をみあい、雲に叫び合うようだった。
三国志:09 図南の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
長白山頭には猛鷲もうしゅうの旗影飄々ひょうひょうとして朔風にひるがえるの勢いをなせり。
将来の日本:04 将来の日本 (新字新仮名) / 徳富蘇峰(著)
水面からそこへうつったのが極度きょくどの力であったろう。やぐらの上をはなれると、さすがに強い猛鷲もうしゅうも、むしろくわえている重量じゅうりょうに引かれこんでゆくかたち
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
猛鷲もうしゅうかかるように、宗厳はいきなり跳びついた。理念をふみ超えた一瞬の捨身である。床板が踏み抜けるように鳴った。ふたつの体のうごきが一うず旋風せんぷうとも見えたせつな
剣の四君子:02 柳生石舟斎 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
一羽の猛鷲もうしゅうが、翼をおさめて、山上の岩石からじっと、大地の雲霧をながめている。——
三国志:05 臣道の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
昌幸の旗合図と共に、忽ち、そこらの林や、山蔭から、一隊、また一隊、真田方の伏兵がちあらわれ、息をついている徳川勢へたいし、猛鷲もうしゅうのように、つかみかかって行くのが見える。
新書太閤記:11 第十一分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)