物怖ものおじ)” の例文
打見うちみに何の仔細しさいはなきが、物怖ものおじしたらしい叔母のさまを、たかだか例の毛虫だろう、と笑いながら言う顔を、なさけらしくじっと見て
悪獣篇 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
非常に物怖ものおじをしてゐんだ、そして僕が話しかけようと躊躇してる間に、遁げるやうにして行き過ぎてしまつた……それから僕はますます氣味惡くなつて引き返して來てしまつたんだ……
輝ける朝 (旧字旧仮名) / 水野仙子(著)
顎十郎、あまり物怖ものおじしないほうだが、これには、いくらかおどろいた。
顎十郎捕物帳:01 捨公方 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
可懐なつかしい姿、ちっ立佇たちどまってという気もしたけれども、小児こどもでもいればだに、どのうちみんな野面のらへ出たか、人気ひとけはこのほかになかったから、人馴ひとなれぬ女だち物恥ものはじをしよう、いや、この男のおもかげでは、物怖ものおじ
春昼 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
餌取の平吉、あまり物怖ものおじのしないほうだから、船胴ふなどうから腰をあげて
顎十郎捕物帳:13 遠島船 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)