“ものおじ”のいろいろな漢字の書き方と例文
語句割合
物怖71.4%
物怯28.6%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
顎十郎、あまり物怖ものおじしないほうだが、これには、いくらかおどろいた。
顎十郎捕物帳:01 捨公方 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
可懐なつかしい姿、ちっ立佇たちどまってという気もしたけれども、小児こどもでもいればだに、どのうちみんな野面のらへ出たか、人気ひとけはこのほかになかったから、人馴ひとなれぬ女だち物恥ものはじをしよう、いや、この男のおもかげでは、物怖ものおじ
春昼 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
父や母や兄の仇、松平家を代表した一人いちにんに、怨恨うらみの鎌の刃とは、思えども、初めて接した貴人の背後、物怯ものおじしてブルブル戦慄せんりつして、手の出しようがないのであった。
怪異黒姫おろし (新字新仮名) / 江見水蔭(著)
キャラコさんは、物怯ものおじしたような顔で、広い座敷の真ん中にぽつねんと坐っている。靴下をへだてて藺草いぐさの座布団の冷たさがひやりと膚に迫る。それがまた、なんとなく落ち着かない思いをさせる。
キャラコさん:06 ぬすびと (新字新仮名) / 久生十蘭(著)