牝馬ひんば)” の例文
最近ラッドレー附近の一種馬場に於て飼育せられし一牝馬ひんばは、今より三年以前に見世物用の斑馬はんばと交尾して一匹の混血児あいのこを生み、飼主をして奇利を博せしめし事あり。
押絵の奇蹟 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
また、さっそく、種つけし始めた牧の牝馬ひんばは、みな仔を生み、明けて三歳の春駒や、二歳、当歳仔とうさいごが、大結ノ牧に、群れ遊び、むかしに近い景観を呈し始めてもいる。
平の将門 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
そして、彼自身は、ぱっぱっと走る牝馬ひんばにまたがり、子馬を一頭したがえて、ケンタッキーか、テネシーか、あるいはまたどこへなりとくりだした気になってしまった。
一は牝馬ひんば春を思う際身分より出づる粘液を採り、呪をしながら諸霊草と和し薬となすものだ。
競走馬上りと見える流星栗毛のスマートな牝馬ひんばに、純白の乗馬服を着た夫人は、大公妃のようにまたがっている。しかし、声は新子に話す時などとは違って、小娘のようにはずんでいる。
貞操問答 (新字新仮名) / 菊池寛(著)
競走馬上りだけにかんのいい牝馬ひんばは、すぐ駈足になって戞々かつかつたる馬蹄の音を立てながら前川邸近い森の中に走り入ろうとしたように見えたが、何人なんぴとかの悲鳴が聞えると同時に、たちまち馬が
貞操問答 (新字新仮名) / 菊池寛(著)
見れば、大将軍袁紹えんしょうが、門旗をひらいて馬をすすめてくる。黄金こがねかぶと錦袍きんぽう銀帯をよろい、春蘭しゅんらんと呼ぶ牝馬ひんば名駿めいしゅん螺鈿らでんの鞍をおき、さすがに河北第一の名門たる風采堂々たるものを示しながら
三国志:06 孔明の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)