あたた)” の例文
よしや頭が禿げてもこのあたたかい若々しい心情こころもちだけは何日までも持つて居たいものだと思つて居る。いづくんぞ今にして早く蒸溜水の様な心に成られやう。
雲は天才である (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
葡萄酒ぶんどしゅ? 葡萄酒ぶだうしゅかい。お前がつくった葡萄酒かい。あたためてあるのかい。」
柳沢 (新字旧仮名) / 宮沢賢治(著)
信吾も其頃は、感情の荒んだ今とは別人の様で、血のあたたかい真率まじめな、二十二の若々しい青年であつたのだ。
鳥影 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
熟した麦の香の漂ふ夜路に、あたたかい接吻きすの音が幽かに三度みたび四度よたび鳴つた。
鳥影 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)