熱烈ねつれつ)” の例文
そして冷靜れいせいな藝術的鑑賞かんしやうは、熱烈ねつれつ生理せいり憧憬どうけいとなつて、人形にんぎやうにはたましいが入つた。何も不思議はないことだらう。周三だつて人間にんげんである。
平民の娘 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)
ナブウ神の熱烈ねつれつ讃仰者さんぎょうしゃで当時第一流の文化人たる大王にしてみれば、これは当然のことである。老博士は即日そくじつ謹慎きんしんを命ぜられた。
文字禍 (新字新仮名) / 中島敦(著)
それから、およそ五六分間は、十分に暗誦あんしょうして来たらしい文句をつらねて、熱烈ねつれつに世界の大勢を説き、日本の生命線を論じた。
次郎物語:05 第五部 (新字新仮名) / 下村湖人(著)
……従僕たちに問いただしてみる勇気は出なかったが、幸いわたしには、食堂係の若者でフィリップという仲好なかよしがいた。これは熱烈ねつれつな詩の愛好者で、またギターの名人だ。
はつ恋 (新字新仮名) / イワン・ツルゲーネフ(著)
後年一流の大家になった人であるから生れつきの才能もあったろうけれどももし春琴に仕える機会を与えられずまた何かにつけて彼女に同化しようとする熱烈ねつれつな愛情がなかったならば
春琴抄 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
こればかりは実物で、見ていてもこちらがへんになるくらい熱烈ねつれつなながい接吻せっぷんをしています。これには、いちばんおどろいて、部屋のはしにあった階段を、むちゃくちゃにけあがりました。
オリンポスの果実 (新字新仮名) / 田中英光(著)