照覧しょうらん)” の例文
旧字:照覽
康頼 神々は正しく照覧しょうらんしていられます。えしのんで祈ってあきなかったらいつかはわれわれの日がきっと来るでしょう。
俊寛 (新字新仮名) / 倉田百三(著)
「のみならず、ここにわしは、新しい大疑問を見出した。信念をつかんだ。下手人は飽くまで郁次郎でないことを信じる。八まん照覧しょうらん、下手人はほかにある!」
牢獄の花嫁 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
実に大浦の武士道を冥々めいめいうち照覧しょうらんし給う神々のために擦られたのである。
保吉の手帳から (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
照覧しょうらんあれ、人はいおうと、天は知るだろう。尊氏はただ正しいと信じる道を行くだけだ。……いやこんなはなしは後日後日。直義、すぐ前進の貝を吹かせろ」
私本太平記:10 風花帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
産土うぶすなの神も照覧しょうらんあれ願文がんもんの誓いはきっとつらぬいてみせよう。——ここにただ尊氏をさえ滅ぼしてしまえばだ。道誉一人の存否などは問題でない。どうにでもなる。
私本太平記:10 風花帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
乞食になっても、盲になっても、この竹童ちくどうの心は八神殿しんでん神々かみがみさまや、弓矢八幡ゆみやはちまんがご照覧しょうらんある。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
こっちの条件と、先のいい分とは、弓矢八幡も照覧しょうらんと、かたく誓い合って、どじょうひげとわかれて沢庵が本堂へ戻って来ると、彼女は沢庵へ向って、その無謀を責めてまなかった。
宮本武蔵:02 地の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
矛盾の兄、と直義ただよしがいったのも道理であって、今朝の尊氏はまた、自己のそうした行為のあとを、いささかも矛盾だったとはしていないふうだった。——天も照覧しょうらんあれ、自分の本心はこうである。
私本太平記:10 風花帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
ただ念ぜよ。故右大臣信長公の在天の霊と、弓矢八幡の照覧しょうらん
新書太閤記:08 第八分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)