焙烙はうろく)” の例文
お時は奧より焙烙はうろくがらを入れたるを持ち來りてかどに出で、ひうちをうちて迎の火を焚き、またその火を燈籠に移す。苧殼やうやく燃えあがれば、お時は火にむかひて拜む。蟲の聲きこゆ。
箕輪の心中 (旧字旧仮名) / 岡本綺堂(著)
かれたゞ一つでもいから始終しじゆうしるなかかならずくつ/\としかつた。しかしそれは一同みんないはときのみで、それさへ卯平うへい只獨ただひとりゆつくりとあぢはふには焙烙はうろくせる分量ぶんりやうあまりにらなかつた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
今は跡形もありませんが、其頃流行つたかはら町の焙烙はうろく地藏樣の門前、お百度石の側で、同じ町内の糸屋の娘お駒が、銀簪ぎんかんざしに右の眼玉を突かれて、藝妓奴と同じやうに、無慙むざんな死に樣をして居たのです。