たに)” の例文
はらむ事五月にして子を生んで多くたにに浴す。その性騒動にして物を害す、これを畜う者、杙上に坐せしめ、むちうつ事旬月なればすなわちると。
たにによるの天険をえらび、その道路湊門そうもんを築造するも、ただ攻守の便宜より判断を下し、その関門を設けその津留つどめをなし、その行政の区域を定め、その人民を統制するがごとき
将来の日本:04 将来の日本 (新字新仮名) / 徳富蘇峰(著)
此処は水乏しくして南の方のたにに下る八町ならでは得る由なしと聞けるに、湯殿に入りて見れば浴槽ゆぶねの大さなど賑える市の宿屋も及ばざる程にて、心地好きこと思いのほかなり。
知々夫紀行 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
一一一る看る日は入り果てて、一一二宵闇よひやみの夜のいとくらきに、一一三げざればまのあたりさへわかぬに、只たに水の音ぞちかく聞ゆ。あるじの僧も又眠蔵めんざうに入りて音なし。
佐渡の島の東北端、鷲崎わしざきという静かなたにも、水澄んでさまざまの藻が茂っていた。
雪国の春 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
一つのたにのそばで、危うく敵の越吉元帥の部下に取り巻かれ、すでに討死をとげるところだったが、ふしぎにもその時、空中に父関羽の姿が見えるような気がして、にわかに百人力を得て
三国志:11 五丈原の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
ききなれしたにのせせらぎ
駱駝の瘤にまたがつて (旧字旧仮名) / 三好達治(著)
たけ三尺たに中に入りてかにを取りて人間の火についてあぶり食う、山人これを越祀の祖というと載す。
たににみづくみ
駱駝の瘤にまたがつて (旧字旧仮名) / 三好達治(著)