湯屋ゆうや)” の例文
それから三日みっかほど後に、芝の愛宕下で湯屋ゆうやをしている熊蔵が神田三河町の半七の家へ顔を出した。熊蔵が半七の子分であることは読者も知っている筈である。
半七捕物帳:45 三つの声 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
今度開店した小間物屋は安売だけれどしなが悪いの、お湯屋ゆうやのお神さんのお腹がまた大きくなって来月が臨月だの、八百屋の猫が児を五疋生んで二疋喰べて了ったそうだのと
平凡 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
その昔は場末の湯屋ゆうやは皆入込いれごみでございまして、男女なんにょ一つに湯に入るのは何処どこかに愛敬のあるもので、これは自然陰陽の道理で、男の方では女の肌へくっついて入湯を致すのが
業平文治漂流奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
湯屋ゆうやの二階というものは、明治十八、九年の頃まで残っていたと思う。わたしが毎日入浴する麹町四丁目の湯屋にも二階があって、若い小綺麗こぎれいねえさんが二、三人居た。
綺堂むかし語り (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
九「お前さんは湯屋ゆうやの番頭さんなら内証ないしょで手拭を持って来ておくんなさい、お願いです」
業平文治漂流奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
三馬さんばの作に「浮世風呂」の名があっても、それは書物の題号であるからで、それを口にする場合には銭湯せんとうとか湯屋ゆうやとかいうのが普通で、元禄げんろくのむかしは知らず、文化文政ぶんかぶんせいから明治に至るまで
綺堂むかし語り (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
もっと金次きんじの野郎がわりいんでございやさアねえ、湯屋ゆうやでもってからに金次の野郎が挨拶しずにぐんとしゃがむと、おめえさん甚太っぽーの頭へ尻をせたんでごぜいやす、そうすると甚太っぽーが怒って