ぞい)” の例文
高台の職人の屈竟くっきょうなのが、二人ずれ、翌日、水の引際を、炎天の下に、大川ぞいを見物して、ながれの末一里有余あまり、海へ出て、暑さに泳いだ豪傑がある。
絵本の春 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
「お稲の芝居は死骸の黒髪の長いまでじゃ。ここでは知らぬによって、後はんで、二度ぞいどのに聞かっしゃれ、二度添いの女子おなごに聞かっしゃれ。」
陽炎座 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
先達せんだつの仁右衛門は、早やその樹立こだちの、余波なごりの夜に肩を入れた。が、見た目のさしわたしに似ない、帯がたるんだ、ゆるやかな川ぞいの道は、本宅から約八丁というのである。
草迷宮 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
私は即座に、その二度ぞい、そのうわなり、その後妻に、今ここで聞きました。……
陽炎座 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)