浅黄繻子あさぎじゅす)” の例文
「それじゃ、まるで年増に見えてしまいます、浅黄繻子あさぎじゅすや濃い化粧にうつりよくするにゃ、どうしても、こう来なくッちゃなりません」
江戸三国志 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
こんな山が屏風びょうぶをめぐらしたようにつづいた上には浅黄繻子あさぎじゅすのように光った青空がある。
槍が岳に登った記 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
窓より見晴らす初夏の空あおあおと浅黄繻子あさぎじゅすなんどのように光りつ。見る目清々すがすがしき緑葉あおばのそこここに、卵白色たまごいろの栗の花ふさふさと満樹いっぱいに咲きて、えがけるごとく空のみどりに映りたり。
小説 不如帰  (新字新仮名) / 徳冨蘆花(著)
縫い上がって来たのを見ると、けばけばしい、小袖と、その上になるかみしもはかまは、おあつらえの浅黄繻子あさぎじゅすに金糸のい紋です。
江戸三国志 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
きん元結もとゆい前髪まえがみにチラチラしている、浅黄繻子あさぎじゅすえりに、葡萄色ぶどういろ小袖こそで夜目よめにもきらやかなかみしもすがた——そして朱房しゅぶさのついた丸紐まるひもを、むねのところでちょうにむすんでいるのは
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
浅黄繻子あさぎじゅすかみしも厚化粧あつげしょうをした嵐粂吉になってみるのも面白いかも知れない。
江戸三国志 (新字新仮名) / 吉川英治(著)