はたら)” の例文
「大和へやる」の「やる」という語も注意すべきもので、単に、「帰る」とか「行く」とかいうのと違って、自分の意志がはたらいている。
万葉秀歌 (新字新仮名) / 斎藤茂吉(著)
おつるところにはたらきざしあるゆゑに陰にして陽のまろきをうしなはざる也。天地気中の機関からくり定理定格ぢやうりぢやうかくある事奇々きゝ妙々めう/\愚筆ぐひつつくしがたし。
しかしながら、かく強烈な誘惑の前には理性は影を潜めてしまっていた。そこにはもはや本能しかなかったのである。ただ獣性のみがはたらく。
この瞬間には彼女は自己というものを離れ去り、また外界の何物にもわずらわされずに、衝動がはたらくままの行動をする。
エレオノラ・デュウゼ (新字新仮名) / 和辻哲郎(著)
頬の細そりした面長の顔が、薄暗い光りの中に浮きだして、静に枕の上に休らっていたが、底のない穴を思わせるような眼だけは、変に鋭くはたらいていた。そして時々瞬きをした。
子を奪う (新字新仮名) / 豊島与志雄(著)