水面みなも)” の例文
あたかもらんまんたる桜の枝が水面みなもに映っているような、ほんのりと桜色に色づいた顔に、そよ吹く春風をあしらうようなこびを見せ
利鎌とがまのような月影が大川端の水面みなもに冴えて、河岸の柳も筑波颪に斜めになびくころであった。
早く早くと水と水とが押合う為めか、水面みなもに一種の燐光りんこうただよって物凄い。急に寒くなった。お母さんは乃公を確乎ぎゅっと捉えている。何程無鉄砲でも、此んな処へ飛び込むものか。
いたずら小僧日記 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
宗業は、塀の外をしばらくぶらぶらしていたが、やがて、鍛冶かじいけのそばへ行って、雑草の中の石に、腰をおろし、ふなかなにか、水面みなもをさわがしている魚紋に見恍みとれていた。時々、顔を上げて
親鸞 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
雑魚ざこぴきかからない、万一や網でも損じてはいぬかと、調べてみたがそうでも無い、只管ひたすら不思議に思って水面みなも見詰みつめていると、何やら大きな魚がドサリと網へ引掛ひっかかった、そのひびき却々なかなか尋常でなかった
枯尾花 (新字新仮名) / 関根黙庵(著)
グラスメヤア(三)水面みなもにも
天地有情 (旧字旧仮名) / 土井晩翠(著)