水柱みずばしら)” の例文
海上からは、まるで大きな塔のような水柱みずばしらがたち、海面にはものすごい波のうねりがひろがってゆく。そのなかに、まっくろな煙がすーとたちのぼりはじめた。
人造人間エフ氏 (新字新仮名) / 海野十三(著)
剣舞の次は幻燈げんとうだった。高座こうざおろした幕の上には、日清戦争にっしんせんそうの光景が、いろいろ映ったり消えたりした。大きな水柱みずばしらを揚げながら、「定遠ていえん」の沈没する所もあった。
奇怪な再会 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
ぬくぬくと肩さ並べて、手を組んで突立つったったわ、手を上げると袖の中から、口いくと咽喉のどからいて、真白まっしろ水柱みずばしらが、から、さかさまにざあざあと船さ目がけて突蒐つっかかる。
海異記 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
海の中へ水柱みずばしらを盛んに立てるものだから、アシカは驚いて次第に湾外へ逃げ出してしまつた。
東京湾怪物譚 (新字旧仮名) / 佐藤垢石(著)
ドボーン……と、まっ白な水柱みずばしらがあがった。まんまんとして毒水どくすい波紋はもんがよれる。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)